3月のヨリミチは、南アルプス山麓・芦安(あしやす)地域を歩きました。
一旦雨天順延となりましたが、おかげさまで延期日程はお天気に恵まれ、桜の開花にもぴったり。春爛漫の空の下スタートしました!
南アルプス登山の玄関口、芦安。登山される方の多くは通過していく場合が多いですが、ゆっくり地域の中を歩いてみることで、お山に寄り添った人々の生活を感じることができます。
中でも今回は、小曽利(こぞうり)・大曽利(おおぞうり)・沓沢(くつざわ)地区を巡りました。
スタートは民宿旅館/食堂「なとり屋」さん前の芦安バス停から。南アルプス市コミュニティバスの発着地でもあります。
御勅使(みだい)川の流れを見ながら、まずは集落をくだっていきます。空も川も広い!!
歩きながら最初に目にとまったのは、芦安支所近くに設置されたこちらの案内板。
ん?「しょうゆの実」・・??
「しょうゆの実」は、江戸時代から受け継がれるという、大豆を使ったこの地域伝統の発酵保存食。
山間部の傾斜地という立地から、畑作で寒さに強い大豆が多く作られてきた芦安ならではの郷土食です。実はあまり市場に出回ることがない貴重な食品で、私もまだ数回しか口にしたことがありません。。
今回はこの地区で生まれ育った加賀美裕子さんにもウォーキングにご参加いただいたので、その作り方なども解説していただきました。仕込みの時期は10月頃で、発酵には麹を用いて木製の「ねかし箱」という道具を使うそうですが、長年の菌の風味で各家庭ごとに味が違うのだとか。うーん、ますますお味が気になりますね!
たっぷりのおかかとネギをかけていただくのが芦安流ですが、この地域のお宿に宿泊されると食べられる可能性がありますので、興味がある方はぜひ!
と、、、出だしから食べ物の話題で足が止まる・・・(笑)
さあ、この先は坂道の登りが待っています!
大曽利地区に行くには、まずはこの雪除け凍結防止アーケードの急坂をクリアしなければなりません。地元では新道坂・通称「心臓破りの坂」とも呼ばれているそうです。
確かにこの道が冬に凍結してしまったら生活に支障をきたしますね。。このアーケードは地域の方にとってなくてはならない大切な存在。
はい、皆さんの後ろ姿が傾斜のきつさを物語っています・・・^^;
今は自家用車で楽々上がれますが、車のない時代を考えると昔の人はほんとに足が強かっただろうね~なんて皆さんとお話しながら進みました。
各集落にみられる道祖神様のお祀りの風習も興味深いです。大曽利地区では、小正月にヌルデの木を切りだし顔を描いた「オホンダレ」を飾る習わしがありますが、これはいくつも峠を越えた先にある、早川町奈良田地区にもよく似た風習として残っているのだそうです。歩きながら、山里の文化のつながりにも触れることができました。
さらに登ったその上の集落、沓沢の入り口には、樹齢千年とも言われるオオツガの木が鎮座していて、ご神木としてこの地区を見守っている姿が印象的でした。
今回はこのオオツガのすぐ近くにある「大栂屋」さんにもヨリミチさせていただきました。「大栂屋」は、元芦安の地域おこし協力隊、中島紫穂さんが運営するコミュニティスペース。落ち着いた雰囲気の古民家に、芦安地域の文化を垣間見ることのできるあたたかいディスプレイが散りばめられた素敵な空間でした。まだ改装中とのことでしたが、とってもほっこりした休憩タイムを取らせていただきました^^
中島さんありがとうございました!
この他、沓沢地区には昨年オープンしたばかりの和モダンな宿泊施設「南アルプス36(サンロク)」もあり、南アルプス登山の拠点としてもますます期待です!
沓沢からはいよいよ後半。
対岸の山を流れる「瀬戸千段の滝」にも足を伸ばしました。ここは遊歩道が設置されていますが、落ち葉や落石に注意しながら慎重に進みました。
15分程の山道の登りを越えると、千段の滝を間近に見上げる展望台に到着!ここまで上がる価値ありの、見ごたえのある景観です。
コース終盤では、日本で初めてセメントを利用して建設された国の登録文化財「芦安堰堤」も見学。暴れ川と呼ばれた御勅使川における治水100年の歴史を感じられる迫力でした!
山と川と人々とをつないで歩いた今回のヨリミチ。
懐かしさと新しさ、そして地域の方々の郷土愛を肌で感じられるウォーキングでした。
また歩きに来たくなる、そんな素敵な場所です。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
協力:民宿旅館/食堂「なとり屋」
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